ロバート・ラッセルとフランク・ロスの共同ストーリーをTV・舞台のライター、ソル・サクスが脚色し、「不沈のモリー・ブラウン」のチャールズ・ウォルターズが監督したロマンティック・コメディー。撮影は「マイ・フェア・レディ」でアカデミー色彩撮影賞を獲得したハリー・ストラドリング、音楽はモダン・ジャズの大御所クインシー・ジョーンズが担当。出演は「がちょうのおやじ」のケーリー・グラント、「死刑台への招待」のサマンサ・エッガー、「ビッグトレイル(1965)」のジム・ハットンほか。製作は「アルバレス・ケリー」のソル・C・シーゲル。
歩け走るな!評論(2)
作品内では、案の定、東京が深刻なホテル不足に悩まされる状況が描かれる。そうやって泊まる場所のない男二人がひょんなことから若い女性の部屋でルームシェアを始めることからドラマが巧妙に展開していく。
「北北西に進路を取れ」などで知られる名優ケイリー・グラントが老紳士を飄々と演じ、あとの若き男女を自ずと結びつける恋のキューピッド役を担うのが何とも素敵だ。
おかしな日本描写が登場するのもご愛嬌。50年前に想いを馳せながらじっくり楽しみたいところ。また、冒頭に表示される「オリンピックに向けての大変な時期に撮影協力してくれた日本の関係者に心から感謝します」という言葉にほろっとさせられる。
ケイリー・グラントは俺の頭の中ではグレゴリー・ペッグとごっちゃになっているので、冒頭のコメディパターンから、こんなに強引でがさつなおっさんなのか?!と驚いてしまいます。いやはや見知らぬ若い女性の家に強引に泊まっちゃダメでしょ。などと思っていたら、さらに上を行く若いオリンピック選手が現れた。スティーブ・デイビス。俳優名を調べてみると・・・
ジム・ハットン‼
ジム・ハットン、ロンドンにこの名前がどれだけあると思ってんだ?いや、それは『ボヘミアン・ラプソディ』の台詞です(多分)。
そんな男二人と女二人のラブコメディになるわけですが、どうも展開が強引男二人によって紡がれていく不可思議なもの。不可思議といえば、当時の東京の銭湯って、女性が体を洗ってくれる?いや、それって、スタッフが何か勘違いして特殊公衆浴場に下見に行ってしまったのでは?と疑問に思う。
そういや、洋風の階段のある和風アパートも所々不思議なものがある。アパートとその周辺だけはスタジオ内のセットなのだろうけど、ハリウッドで作ったんだろうなぁ。それでも変な日本描写が多いB級作品よりはまし。日本語もまともだし、おばちゃんも親切だし。
しかし肝心のストーリーが強引な同居生活からスパイ疑惑や偽装結婚など、とんでもない方向に進むし、新聞記者が競歩に参加してるのも不自然。まぁ、神父と証人と指輪があれば結婚できるんだし、バツイチにならないからいいのか・・・