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キャノンズ評論(1)
原題はLoose Cannons、固定されていない大砲のこと、玉がどっちへ飛ぶか分からず危険千万、転じて危ない輩の比喩、さしずめ「あぶない刑事」でしょうかね、劇中でもロケットランチャーや古いラッパ銃は出てきますが邦題のキャノンズでは意味不明ですね。珍妙なポリス・コメデイです。
(以下ネタバレ)
元ナチス将校が過去を偽って西独の首相に立候補、イスラエルの諜報機関モサドの美人エージェントと協力し当時の証拠フィルムを手に入れて過去を暴くという、いたって真面目なお話、ジーン・ハックマンだけなら見どころあるサスペンスで行けるのにゴーストバスターズのダン・エイクロイドを加えてお笑い仕立てのバディものにしてしまいました。
冒頭からエッチの声が激しすぎて眠れない住民からの苦情対応と下ネタ全開かと思えば子供受けするような幼稚なギャグ満載、なにしろダン・エイクロイドのボケ具合がひどいのでツッコミ役のジーン・ハックマンもついていけず砂糖入り麻婆豆腐のような奇妙なティストになってしまいました。
ダン・エイクロイド扮するエリス刑事はマフィアに受けた拷問のPTSDでプレッシャーを受けると突然、別人に憑依してしまうというキャラ設定、物まね芸はスター・トレックから漫画まで様々ですが元ネタを知らない若い人には理解不能かも知れませんね。川を流れてゆくシーンで何故かポパイ・ザ・セーラマン~♪と唄いだすのですがジーン・ハックマンが刑事ものの名作「フレンチ・コネクション」であだ名がポパイの刑事を演じていたことへのくすぐりでしょう。カーチェイスもありますがドアがウッドのクラシックワゴンですから爆走と言う訳にはいきません、妙な甘辛味、そういう映画と割り切れば結構楽しめました。