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GUNDA グンダ評論(2)
母豚GUNDAとその子どもたちの映像が流れるだけの映画。いや、正確には鶏や牛がスクリーンを支配する時間帯もある。でもそれが若干退屈。それらも含めての世界観なんだろうけど。
どんな展開が待っているんだろうと思いながら観ているから、足の引きずっている子豚が気になったり、鶏や牛がどんな波乱を巻き起こすんだろうと気になって仕方ない。結果、豚の親子だけでよかったんじゃないの?という気持ちになる内容だった。
可愛らしく、生きることにもおぼつかなかった子豚たちが成長し、食欲旺盛にエサをあさったり母豚の乳を奪い合う姿に少し圧倒されてしまった。母豚もグッタリしているし、母性を食い荒らされる姿を見せられた気分だ。
でも、後半の展開はさらなる衝撃が待っていた。家畜ってことはそうだよな。現実的な決論だ。今まで豚の母子の小さな世界だったのが、急に人間の支配する世界に放り込まれる。この転換がすごかった。GUNDAの母性で育てた子豚たちを結果的に消費するのは誰だってことだ。なかなかすごい手法だ。
すごい音響とカメラワーク。
特にどうやって録音しているのか、驚くレベル。
自然音なのに、藁を踏む音や足音が、音楽みたいなリズムを奏でて重なりあい、BGMがなくともフィルムに多くの情報が溢れていた。
ヴィーガンの方が制作に名を連ねているように、食用に育てられた子豚たちの身に起きる現実を見せることで、
「こんな残酷なことが……」
という切り口ではあるのだが。
こちらは逆に、「こんな貴重な命をいただくのならば、美味しく、しっかり残さず食べなければ」という思いが強くなりました。
『未来少年コナン』の「うまそう」や、『銀の匙』の子豚たちを思い出して、「ベーコン食いてぇ」としみじみ思いました。