若い男女がおもいがけない事のなりゆきで罪を犯し、警察に追跡されながらテキサス周辺300マイルにおよぶ逃避行をやってのけたという1969年に実際に起きた事件を素材にしたアクション。製作はリチャード・D・ザナックとデイヴィッド・ブラウンのコンビ。監督は「激突!」のスティーヴン・スピルバーグ、脚本はハル・バーウッドとマシュー・ロビンス、撮影はヴィルモス・ジグモンド、音楽はジョン・ウィリアムス、編集はエドワード・M・アブロムスとベルナ・フィールドが各々担当。出演はゴールディー・ホーン、ベン・ジョンソン、マイケル・サックス、ウィリアム・アザートンなど。
続・激突!カージャック評論(7)
さすがスピルバーグ。
それにしても、自分が歳を取ったからか、昨今の過剰なまでのコンプライアンス遵守の風潮に染まってしまったのか、この若い夫婦には感情移入どころか全くもって共感できませんでした。
大事になっても一向に怯まないジーンの激情的な性格。子供を取り返したい、という一途な姿勢が市民の共感を得て味方につけてしまうところなど、時代のせいなのか、自分には全く響かず、こんな両親の元に育つ子供も大変だろうな、とか、やっぱり生きてくうえで教育って大切だな、とか現実的に考えてしまいました。
大きな事件ほど犯行動機なんて些細なことかもしれないけど、犯行に至るきっかけ、経緯があまりにも稚拙。老夫婦から車を奪うあたりは映画らしいコミカルさがあったけど、警官を人質にしてカージャックが始まったあたりから、やっぱり時代のせいなのか、今じゃありえなさすぎてちっともハラハラしなかった。
カーチェイスのシーンだけをとってこんな邦題を付けたんだとしたらあまりにもミスチョイス。ストーリー的にもあまり面白くない。
ただ本作は、その後のカーチェイス作品に大きな影響を与えているんだろうな。
でも、このヌルさがなんとも心地よい。人質警官とは仲良くなるし(なんとか症候群ってやつね)、道行く街の住人からは大歓迎されるし(なんともアメリカらしい)。このヌルさ、最後まで貫いて欲しかった。それじゃあ物語にはならないか(笑)
犯人役、女はおバカキュート。ジャケ写はちょっとかわいすぎ。男はダイハードでマクレーン妻ホーリーにぶん殴られる記者、いつもかわいそうな役柄です(笑)
なんともユニークなロードムービー、さすがはスピルバーグ、一見の価値ありです。
にしても、邦題はひどすぎるな。
それで民衆を味方につけ子供を取り戻した感じがしたからなー