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るろうに剣心 最終章 The Final評論(20)
ここでは一から十まで人誅編のネタバレをします。
原作既読。大ファン。
大ファンだからこそ今回の宣伝の仕方には不満だった。
人誅編を元にしたfinal
追憶編を元にしたbeginning
そもそも原作では人誅編の中で剣心の過去(即ち追憶編)が語られる。
つまり、本来は人誅編の中に追憶編が内包されていなければならない。
それを分けて、さらには人誅編を最初に持ってくるのは自分としては納得がいかなかった。
過去をしっかりと話し、それに向き合い、その上で倒す。
これが人誅編の大まかな構造だと思うからだ。
ところが、映画を見てみると全くの杞憂に終わった。
きちんと登場人物に向けて自身の過去を剣心が話しているのだ。
その上で、その過去がダイジェスト方式で見せられ、観客はbeginningを見ることで全て補完される。
なので、原作を知らない人はここで置いていかれるであろう。それは少し残念だが、致し方あるまい。
序盤は大まかなところで原作に添いながら進み、途中からオリジナルストーリーに入る。
実写版人誅編は所々原作の勘所を外してはいるが、自分としては最後まで苦にならず見れた。
京都編よりは成功していると思う。
もちろん脚本の矛盾も多い。
鯨波との邂逅もないのに何故自分に向けた人誅だと剣心が気づけたのかとか。
ただ、それをねじ伏せるほどのアクションと演技だった。
ただ、この人誅編で一つ不満に思う展開がある。
それは神谷薫の死が無いこと。
原作では神谷薫が死に(縁側の偽装ではあるが)そのことで剣心が廃人となってしまい、そこから人斬りとしての罪を償う答を見つける。
この答を見つけたことで縁との闘いに打ち勝つことが出来るのだ。
ただ、この薫の死が無いため剣心が人斬りの罪を償う答を見つけないのだ。
更に劇中では「どうすればいいのか拙者にはわからぬ。」とまで言ってしまっている。
この人誅編のテーマは“復讐”だけでは無い。
剣心側の“贖罪”というテーマもあるのだ。
この贖罪というテーマが実写版ではすっぽり抜け落ちていてそこが大いに不満。
薫が死なないにしても答を見つける、もしくは答を口にする。
これくらいはしてほしかった。(るろうにしている間に答を見つけていたという解釈にしろ)
原作では薫の死に様が実に美しく描かれているだけ(そのコマはいまだに目に焼き付いてる)に残念。
以下、各キャラクターの描き方などで思うことをつらつらと書いていく。
緋村剣心
正直言って剣心の優しさが見えない。
弱いものを助ける。
自分が助けたい人を助ける。
それだけ。
原作の剣心は敵にも情けをかけるのだ。
だが、この映画の鯨波、乙羽、縁、に至るまでどことなく突き放しているようなそんな怜悧さがあった。
それもこれも最後の巴の墓参りで「縁は人を殺した罪を償わなくてはいけない。そうしなければ縁の中の巴は笑わない」まで言わせておきながらその後の「でも巴は優しいからきっと見守ってくれる」をカットしたところに全て現れてると思う。
雪代縁
間違いなく今回のMVP。
原作で語られている「深く深く沈んでいくダウナー系の敵キャラ」というのがよく表現されていた。
最後の死闘で感情を爆発させるところなど要所要所で姉への想いが見えて素晴らしかった。
この縁に泣いた。
アクションも縁らしい“しなやかな肉体”を使ったいかにも“大陸”っぽい動きで素晴らしい。
つけもつけたり、動きも動いたり。
第一作第二作ともに剣心がこの作品のアクションを引っ張ってきた感があったが、今作に限っては縁のアクションがかなり印象に残った。
特に序盤の列車での大立ち回り。
多くの警察官を相手にまるで揶揄うようなアクションが素晴らしかった。
加えて、東京焼き討ち。
原作では実行に移されなかった計画を実行させた事で、剣心1人の復讐の為に平然と多くの人々を殺す異常性が見えて原作よりも狂人のレベルが上がっていて上出来。
この縁の描き方が1番素晴らしかった。
巻町操
今回大満足のキャラクター。
原作でも戦闘シーンが少なく(四神との闘いでさえ出番がなかった)消化不良だったこのキャラクターが実写版で土屋太鳳という好演者を得て供養された。
東京焼き討ちでの蒼紫との共闘も原作ファンとしては胸躍るものだったし、後半の八つ目との戦いも大満足。
相良左之助
今回のかわいそうなキャラクター筆頭。
前川道場には間に合わず、縁には徹底的にボコられ、最後の縁館突入では駆けつけるだけ駆けつけながら主要キャラとの闘い皆無。
もうすこし出番を与えてあげても良かったのでは?
剣心唯一の親友といった感じもなくて残念。
斎藤一
まずまず。
原作でのカッコ良さが第一作からずっと変わらず出ていて監督は斎藤一が一番好きなんだろうなぁとさえ思った。
特に今回も斎藤一が出てくる序盤の掴みが最高。
明神弥彦
原作では大活躍だった弥彦もこの映画では一つも活躍せず。
まぁこれはしょうがない。
子役にあそこまでのアクションは無理なのだから。
ただ、中途半端に弥彦が強くなりたい的な感情を描いていたのはあまりにもおざなりすぎないか?
話を進めるために必要だから触れた感が丸見え
前川宮内・署長
2人とも原作とは微妙に違うものの実写なりの署長と前川先生で素晴らしかったと思う。
縁の同志
正直言って浮いていた。
原作ではそこまで違和感なかった乙羽も番神も八つ目も浮きまくり。
ここは逆に忠実でなくてもよかったのでは。
乙羽の最期もなかなか消化不良ではあるし。
鯨波兵庫
彼が一番救われない。
死に場所を奪われたのみならず、この時代に生きる覚悟をする尺まで奪われたのだからいたたまれない。
せめてもう少し救いの手を差し伸べてほしかった。
蒼紫
今作でも不憫な役回りは変わらず。
操との共闘シーンは良かったもののその後重度の怪我をおい退場。
最後までその生死は明かされないという。
監督は蒼紫が本当に嫌いなのか?と思わざるを得ない改変だった。
演者の罪と役の罪は別だろう。
呉黒星
音尾さんの演技が素晴らしかった。
四神まで実写化されていたのは笑った。
宗次郎
これは驚いた。
まさかまた登場するとは。
前作の最後の闘いが消化不良だったからここで決着をつけさせるのかと思ったらしっかり剣心の味方で残念な気持ち半分。
ただ、この宗次郎との共闘は予想外で胸が熱くなった。
蒼紫・操ペアといい剣心・宗次郎ペアといい、原作ファンのツボを分かった共闘相手だなと思った。
刀狩の張
最早原作の張では無い。
この張は見た目から内面からキャラクター造形がイマイチだったかと。
後、違うのは巴の日記が出てくるタイミング。
だが、今回の脚色だとタイミングが違っていてもそこまで気にはならなかった。
原作ファンで好きなキャラトップ3に入る巴さんが出る回(後は志々雄と斎藤)
志々雄並に想いがある回だったので期待して初日に観に行きました。
ひとつの映画として評価するなら素晴らしかった。
映像も綺麗、アクションシーンも見応えあり。
大切に作ったんだな…って印象。
さて、ここで原作ファンからの評価。
よかった。
よかったんだけどやっぱり納得できないとこは多々あった。
まず真剣佑が思いの外頑張ってた。
思いの外ちゃんと縁だった。
正直期待していなかったというか巴さんが好きすぎて霞んでました。
でも縁の剣心への憎しみ、復讐、巴さんへの想いがよく出てたかな。
体型も合ってたし。
巴さんは有村架純じゃ可愛すぎたな…って思う。
個人的に巴さんは儚い美人7割に、可愛い3割だと思ってるから。
頑張ってるな…とは思うけどドンピシャではなくときめかない。
ストーリーは道場銃撃、弥彦の成長、薫殺害(の真似)、その後の剣心の壊れっぷり、巴さんの実父登場からの剣心復活、縁の巴さんの幻覚なし。
これがない。
これがいたい。
特に薫殺害は絶対外しちゃダメでしょって思う。
あれがあったからこそ剣心は再度大切な人を亡くし縁の傷の深さも再認識するし自分の過去の罪とも向き合う(というか潰される)
縁の剣心を苦しめたい、復讐したい、薫(巴さんと対して年齢が変わらず重ねてしまう)を殺せるのに殺せない。
巴さんが生前縁に甘えん坊で、本当は優しい子で、って言っていたその部分が出てこない。
深く掘り下げられなかったな…って思う。
志々雄編の時も思ったけど十本刀の葵屋襲撃、鎌足さんの話や由美姉さん、宗次郎の話、掘り下げてほしいとこはいっぱいいっぱいあった。
志々雄編も今回のも3部でしっかり各キャラの想いを掘り下げてほしかったのが原作ファンからの感想。
魅力的なキャラが多いからね。
でも牙突は初期よりよかった。
仮に最終章が本作だけだとしても十分に満足できる。
お馴染みのCASTを半ば強引に登場させた感は否めないが、まあそれもご愛嬌と目をつぶれる。
TheBeginningが楽しみです。
つまらなく、見る価値なしでした。
アクションも、物語も、つまらなく、見る価値なしでした。