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GODZILLA ゴジラ(1998)評論(20)
日本のゴジラのイメージを潰してる
て言うかゴジラ特有の背中が光って口からビームが無い時点で終わってる
地響きを立て、太平洋から、放射能を撒き散らして破壊を尽くす。
地震、台風、核爆弾。日本人がアイデンティティとして感じてきた恐怖、その象徴がゴジラだ。だから"Godzilla"、神様なのだ。
エメリッヒのゴジラがなんでこうなったのか?
それはこの映画が欧米人の自然由来の恐怖を描こうとしていたからではないかと思う。
地理的に欧米人には地震や台風といった恐怖は身近ではない。彼らが遭遇する避けようの無い自然災害はペスト、流行病である。
この欧米人が恐れる人に由来しない恐怖として外来からの感染・増殖を描こうとしたんだろうなと思った。だからゴジラが卵を産み、幼体ゴジラが増殖する。(ゾンビ映画が向こうで流行るのも同じ理由だと思う)
しかし、それはゴジラか?
地面を潰し、目の前の建造物を破壊し、邪魔する兵器を潰し、何が目的か分からないまま圧倒的な重量が破壊を尽くす。そんな荒ぶる神がゴジラ。
マグロを喰らい、兵器をすり抜け、街に隠れて、卵を生む…。日本が作ったゴジラのアイデンティティと真逆の巨大生物に「ゴジラ」という看板を掲げさせるのは無理があった。
この映画は「イグアナドン、ニューヨークを襲う!」という程度の看板で良かったと思う。
僕はエメリッヒの映画が嫌いじゃ無い、というか好き。(特にスターゲイトを金曜ロードショーで見た時はメチャクチャ感動した!)
彼の映画は良い意味で能天気なのだ。人類滅亡に直面した登場人物達がどこか抜けてて、その危機に気付かないまま突破する。そんなハチャメチャな冒険譚が彼の映画の特徴だ。
そう、ゴジラと水と油ー。こんなに不適任な監督は居なかった。ゴジラは禍を太平洋から運んでくる厄神。
それを禍いを能天気に描く監督に任せるべきではなかった。
だから彼のゴジラには全く重さが無い。軽いのだ。もし日本でゴジラがビルを横切ったらそのビルは放射火炎で焼かれるか、体当たりで倒壊されているか…。そっぽ向いてる隙に尻尾だけ横切って気付かないなんてことは無い。
それにあんな巨大生物を見失うか?いくらなんでも無理があるし、幼体ゴジラが殲滅した後に襲来する成体ゴジラの登場など、どこから出てきたんだよ!画の面白さを優先し、もはやギャグでやってる。(マグロ好きなのも日本のメタファーかよ!)
そもそもエメリッヒ、この映画に乗り気じゃ無かったんだと思う。スターゲイトとインデペンデンスデイの成功で選抜されたんだろうけど嫌ならやるなよ。
(ただし、この映画にキレてるゴジラファイナルウォーズもオマエどの口でいってんだって感じ。言える立場じゃねーだろ‼︎)
ただゴジラミレニアムのデザインや、幼体を生むゴジラというシンゴジラへの影響など、今まで日本人が発想しなかった点で意外とこの映画、後のゴジラに影響与えてる。
カリフォルニアロールという劇薬で寿司の裾のが広がったというか。
ただ、ゴジラでさえこんな雑にリメイクしてしまうハリウッドの負の遺産という見方も出来る。僕は途中からこの映画がゴジラシリーズの一作であることを忘れていた。
ゴジラを破壊神と見るかモンスターと見るか、ある意味貴重な映画です。
監督は“ 破壊王”ローランド・エメリッヒ。
オリジナルのゴジラと較べるとスマートで、素早い。
ってゆーか、もはやゴジラでなくて、巨大なティラノサウルス…
オリジナルを追求し過ぎて、別モノになっちゃったのかもね~
もし、タイトルが『ゴジラ』じゃなければ、反感も無く純粋にこの作品を楽しめたのかも…