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ミッドナイトクロス評論(10)
後味が悪いということで賛否両論ではあるが、B級映画でもこんなに頑張ってやってるんだぞ!というデ・パルマ監督の愛情が感じられる映画だ。いい悲鳴を見つけたなぁ・・・
元ネタはミケランジェロアントニオーニ監督の欲望、原題はBlowup(現像)
本作の邦題ミッドナイトナイトクロスではそのニュアンスが伝わらない
元ネタの方は偶然殺人事件の現場が写り込んだ写真を撮ってしまったカメラマンの話
本作は偶然殺人事件の現場の音を録音した音響マンの話
元ネタはせっかく面白そうなサスペンスのモチーフを使い切らず1960年代半ばのイギリスの盛り上がる若者文化の様子を映画に撮りたいがための方便として使われるにすぎず、そのサスペンスはほったらかしで映画が進みサスペンス自体尻切れトンボで終わってしまう
本作は、元ネタがそんな面白そうなモチーフを使い切れないなら自分が使うとばかりにデパルマ監督が思いっきりサスペンスで撮った作品
おかげで欲望でのサスペンス欠乏の欲求不満は大いに解消された
音響マンという設定がまず大いに活かされる展開が素晴らしく、どんどん引き込まれてしまう
トラボルタの主演抜擢もヒロインとの関係性を持たせる上で大いに説得力があった
そして演技力にも、こんなに上手かったのかと目を見開かされた
クライマックスの花火大会のシーンはあまりにも美しい名シーンとして心に残るもの
トラボルタ主演作品で涙してしまう破壊力を持っている
そしてラストシーンの悲鳴のテープ
デパルマ監督の非凡な才能を思い知らされた
本作には、終盤近くで大きな駅、スローモーション、大階段というシーンが続く
そう本作の数年後にデパルマ監督が撮るアンタッチャブルのあの大階段を思い付くヒントはここにもあったのだ
また冒頭の学園スリラー物の試写はデパルマ監督のキャリーを思わせてニヤリです
今年キリバリー・ビアス監督によって「キャリー」がリメイクされると言うので、デパルマ監督の作品を数本見直してみようと思い立って選んでみた3本の一つがこの作品「ミッドナイトクロス」だ。
「キャリー」は新作を観る前に比較してみる為に選んだのだが、この「ミッドナイトクロス」を選んだ理由は、公開当時は「サタデーナイト・フィバー」が爆発的人気を博した為に、未だ未だJ・トラボルタ熱が覚めない頃で、人気俳優のJ・トラボルタが出演していた作品であったと言う事で、当時私も学生だったので、絶対に見逃がすまいと、映画館に並んだのを憶えている。
しかし、ストーリーをおぼろげに憶えている程度で、細かい内容についてはすっかり忘れていたので、この際観る事にしたのだが、この作品ってこんなに軽いと言うか、上っ面だけの単純で面白くない作品だった?と改めて観ると驚いたのですよ!
公開当時の私は、ラブサスペンスで結構面白かったと言う印象だけが残っていて、何処までも犯人が迫って来る感じにハラハラドキドキした記憶が、痛烈にあったのだけれども、
今見直して見ても確かに、ドークと言うジョン・リスゴーが演じる長身の殺人犯が一番良い味を出している気がした。
しかし、B級ホラー映画の音響効果マンを務める主人公であるJ・トラボルタ演じるジャックの淡い恋心を寄せる事になる、ナンシー・アレン演じるサリーの軽薄なオバカなキャラクター設定って普通に、こんなヒロインを設定するのか?と疑問視???
いくら何でも、こんな軽率な行動ばかりするメイク係志望の女性を主役の相手役にする何て本当に驚いた!ラストでどうしても殺されなくてはならないヒロインなので、設定上オバカキャラが外せないキーパーソンなのだろうか?それにしても、もう少し魅力あるキャラクターとして演出出来る気がして、脚本にもう少し配慮出来る点が無かったのだろうか?とデパルマに対する評価を疑った。
デパルマ監督の代表作の一つである「殺しのドレス」も見直してみたが、これも今の私には、頂けない作品だった。
キャリーはS・キングの原作という事もあり、ストーリー性の面白さと登場人物のキャラクター性の魅力がしっかりと軸にある為か、それなりに面白い映画だと今見直しても評価出来る作品だったが、「殺しのドレス」ってこんな作品だったっけ?と、今では、何故公開当時にあれ程の話題を巻き起こしていたのか驚きを隠せなかった。
映画は、制作されたその時代を多く反映している為に、宣伝効果や、その時代のカラーなどで、公開した時は面白いと思って絶賛した作品を数年後に再度観て、面白くないと感じてしまう事もあるので、映画ファンとしては、同じ映画を再度見直すと言うのは結構難しい選択だ。折角お気に入りの作品だったものが、嫌いな作品へと降格してしまう事も有る。
勿論その逆のパターンも有って、若い頃に観て理解出来なかった作品や、楽しめなかった作品を再度観てとても気に入ったと言う事もあるからだ。ピッチコックを越えるサスペンス映画監督と言われたデパルマだが、やはり彼の作品は賛否の分かれる作品が多いと思う
若き日のジョントラボルタ主演のサスペンス映画です。
1980年代初頭の映画、と言う事もないのでしょうが、全体的に安っぽい作りに感じます。映像もそうですし、銃なども少しチャチに感じます。大統領候補暗殺っという大事件にしては、敵役も力不足でした。
あとラスト。悪い意味でかなり驚きました。「えっそれで良いの?」って驚き。BGMも気が抜けていて、キツネに抓まれたような不思議な気持ちになりました。