激動の昭和史 沖縄決戦
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08月14日 1971 台灣上映
沖縄海洋博
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09月18日 1976 台灣上映
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07月30日 2022 台灣上映
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沖縄スパイ戦史評論(17)
ISで起こっている惨事とまったく同じ。
ちょうどその頃、山尾志桜里が国会で精神的自由が経済的自由に優先する理由をアベシンゾウに説明を求めたが、総理大臣は憲法の基本概念であるこんな質問にも答えられなかった。「急に聞かれてもわかりませんよ」とニヤついていた顔を、腹立たしく思い出す。
2017年には組織犯罪処罰法が成立、施行されて、権力による言論弾圧がますますやりやすくなった。山城博治さんが逮捕されたのはその少し前である。
さて今回の映画は、護郷隊の物語を中心に、かつての日本軍が何をしたのか、そして現代の日本軍が何をしようとしているのかを具体的な証言によって炙り出した作品である。タイトルの中の「スパイ」は多義的に使われていて、陸軍中野学校で訓練された文字通りのスパイ軍人と、軍によって密告や相互の処刑が強要された、民衆の中のスパイがある。また、そうした状況下での「スパイ」という言葉が民衆に与える不安と恐怖は名状しがたい。民衆は善悪の判断よりも自分が生き残ることで精一杯であった。
理解しがたいことだが、世の中には国家と自分をダブらせて、国家のアイデンディティと同化してしまう人がいる。国とはこういうものでなければならず、国民は国のために尽くさねばならぬ、そして国の発展に寄与し、諸外国と対等以上の優位な関係を築き、国家としての確固たる威信を構築する、それが即ち国体というものであるみたいな、イカれているとしか思えない思想の持ち主がいる。
そういう人たちにとって国民主権と平和主義、基本的人権を謳う日本国憲法は邪魔で仕方がない。日本は軍備を増強して世界に伍していくのだと、戦後73年たっても本気で信じている人たちなのだ。
思えば大正デモクラシーからしばらくは、日本は平和であった。軍隊はあるにはあるが、今の自衛隊みたいなもので、庶民には縁遠いものであった。選挙もあったがご近所の先生に投票しておけばよかった。その後近所の先生がいつの間にか帝国主義者の仲間入りをしているとも気づかないうちに。
平成最後の夏も、かつての戦争前夜のように平和である。日本がこれから戦争をする国になると思っている人は少ないだろう。ただ、危惧している人はたくさんいる。そういう人は、ご近所の先生に投票することがどんな結果を招くかを説く。しかし民衆は誰も聞く耳を持たない。
ドストエフスキーは「悪霊」の中で「人々はパンのために喜んで自由を投げ出す。人生は不安であり、恐怖である。いま人が生を愛するのは不安と恐怖を愛するからである」と喝破した。その真実はキリストの昔から今まで、ちっとも変わっていない。日本はもちろん、人類は今後も破滅に向かって一直線に突き進み、絶滅の道をたどるだろう。
霊長目ヒト科ヒト属ヒトに代わる種が、次の地球を生きるのだろう。それは決して悪いことではないが、人類にとっては悲観すべき未来である。
約1000人からなる「護郷隊」は村上中尉、岩波中尉が組織し、迫りくる米軍の情報を入手したり、食糧庫を爆破するなどの任務を負っていた。中には、わざと捕虜になりガソリンに火をつけたり爆破したりする兵士もいたそうだ。現在のアフリカでも少年が銃を持つ光景や、イスラム過激派の自爆テロなんかを想像すればわかりやすい。慰霊碑の前では護郷隊の歌を歌ったりするが、内容は天皇に身を捧げるというものだ・・・
二つ目のテーマとして、八重山諸島におけるマラリア事件。波照間島に一人の山下虎雄という教師がやってくるが、実は教員を指導する軍人だった。沖縄戦が間近になったとき、住民1400人教が西表島へと強制的に移住させられ、劣悪な環境の中でマラリアに感染。500人ほどが亡くなった話だ。山下というのも偽名。日本刀を隠し持っていた等、まるでミステリーのような実話には身震いしてしまうほど。
そして三つ目は敗残兵となった兵が住民に協力を要請して「国士隊」を組織させたという話。これは現在においても口をつぐんでいる人が加害者・被害者ともにいることで、全貌まで解明できない難しさがあるが、とにかく戦争協力、住民相互の監視、スパイ容疑の者を射殺・虐殺、日本軍の非道さを思い知らされる内容でした。死んだ人間は全て敵に殺されたという戦死扱い。捕虜になったり、英語を話せたりしただけで友軍に殺されたそうだ。およそ100人。
日本軍は軍機保護法を根拠に、そうした日本人殺しもできる時代だった。負傷して足枷になる兵だって銃殺され、一般人さえも犠牲になる。軍は国民を守るのではなく、基地を守り、敵を倒すこと、国体護持することが基本。今の自衛隊はどうなのか?という突っ込んだところまで監督は描くのですが、結論付けてはいない。特定秘密保護法が成立してしまったため、そうなる可能性が高いということだけはハッキリしていた。もちろん有事になった際なのだが・・・
「私が撮った映画で悲しい思いをされる方がいる」
ドキュメンタリーを撮ることの功罪に向き合う真摯な姿を見ました。
これは沖縄の話ではなく、また昔の話ではないということを、わかりやすく説明してくれる映画です。
なのでとても説得力があります。
沖縄のおじいおばあ。
話さないことの方が、心が穏やかでいられるはず。
なのに語ってくれました。
衝撃的な話ばかりです。
「伝えることが生き残った者の義務だから」
ならば、それを引き継ぐのが我々の役目だな。